5月28日(日)晴れ
ボルドーのワインは渋味のもととなるタンニンが強く
その渋味を寝かせるうちに えもいわれぬ“まろみ”となり
極上ものは15年を越してから飲まれるようにつくられている
なんせ ボルドーの極上酒を早いうちに飲んでしまうのは「文化的犯罪だ」
・・・と言われるくらいだから(笑)
甘い口当たりのいいワインが好みならブルゴーニュである
新鮮な果実味とやさわやかな酸味が持ち味で
4~5年で飲み頃となるのが普通である
ボルドー地方のぶどう園は日本のそれとは全く異なっている
ぶどうの巨木が天井のように枝を張り巡らした光景はここにはない
剪定はシャトーの当主みずからが行い
冬のうちに主枝と副枝の二本に刈り込んで
春から初夏にかけて余分なわき枝と葉を切りとり房の数も制限してしまう
フランスではAOC法(原産地呼称統制ワイン)がある
一定の地域でそれぞれの要求する諸条件
つまり 使用するぶどうの種類、醸造の方法、最大生産量等を守ったものだけに
その産地名を名乗ることを認める法律である
だから ボルドーの一流といわれるシャトーでは
一本の木からせいぜい半瓶くらいしかワインはつくれないのだ
一流のシャトーの当主たちはこう言う
「絶対に譲れない一線だ 質を落とすくらいならワインつくりをやめる」
私は彼らのこの徹底したポリシーが大好きである
“こだわり”は時として人を苦しめ 精神的疾患の原因にもなるが
方向性さえ定まれば 素晴らしい文化を生み出す原動力となるのである
あるシャトーの当主の一言に
「何があってもワインつくりに手を抜いてはならない そうすれば神が助けてくださる」
私は彼の言葉の中に「いまここで」「あるがままに」の真髄を見た気がした
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